この記事では、Amazon領収書の出し方と電子データでの保存方法、確定申告における注意点をわかりやすく解説します。2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、通販を利用した際の領収書について「出力した紙での保存」は認められず、原則「電子データで保存」することが義務付けられました。
税理士に依頼せず、自分で確定申告を行っている個人事業主・フリーランスの方は特に、今後の確定申告にあたり経費がまとめて否認されることがないように、通販領収書の取り扱いには十分注意する必要があります。
Amazon領収書を発行できる条件
はじめに、Amazonの領収書は発行できる場合とできない場合がありますので、発行できる条件についてご紹介します。ここでは、支払方法・利用可能端末・発行期限に分けて解説します。
支払方法
利用した支払方法によるAmazon領収書の発行可否を以下の表にまとめました。
領収書発行が可能な支払方法をしていれば、物品購入の領収書だけでなく「Amazonプライム会員の領収書」、「Amazon Kindle unlimitedの領収書」など利用したサービスの領収書発行も可能です。
支払方法 | 領収書発行 | 対応 |
---|---|---|
・クレジットカード ・携帯決済 ・あと払い (ペイディ) ・PayPay(ペイペイ) ・Amazon.co.jpギフトカード ・Amazonポイント ・パートナーポイント | 〇 | AmazonのWebサイトで領収書を発行し、電子データ(PDF)で保存 |
・コンビニ払い ・ATM払い ・ネットバンキング払い ・電子マネー払い | ✕ | コンビニ・銀行の発行する領収書・振込明細を「紙」のまま、もしくはスキャンして「電子データ」で保存 |
・代金引換 | ✕ | 運送会社の発行する領収書を「紙」のまま、もしくはスキャンして「電子データ」で保存 |
・Amazonビジネスの請求書払い | ✕ | 銀行振込控を「紙」のまま、もしくはスキャンして「電子データ」で保存 |
個人事業主・フリーランスで、とにかく確定申告のための紙の領収書管理の手間を減らしたいという方は、領収書発行が可能な支払方法に統一し、電子データで領収書を保存することをおすすめします。
またAmazon領収書は注文単位での発行となるため、事業用とプライベート用を分けて注文すると領収書が別になり管理がしやすくなります。
利用可能端末
Amazon領収書は、パソコン・スマホ・タブレット端末のWebブラウザ(Google Chrome・Microsoft Edge・Safariほか)で、AmazonのWebサイトにアクセスすることで発行が可能です。
スマホのAmazonアプリには、領収書を発行する機能がないため注意が必要です。
発行期限
Amazon領収書は、過去10年分が発行可能で、実際、当サイト管理人のAmazonアカウントでは、2015年のサービス加入時から直近2023年までの9年分の領収書を選択・発行できます。
税法上、「領収書は最大7年間保存すること」と定められていますが、Amazon購入品については購入履歴から税法が求める期間のすべての領収書に対応できます。
(参考)国税庁 帳簿書類の保存期間
なお、通販サイトによっては、領収書を発行できる期間が「発送手続き完了メールの配信から3ヶ月以内」など制限されているところもありますので、購入都度、領収書を発行・保存するのがよいでしょう。
個人事業主・フリーランスの方におすすめの通販サイト、サイトごとの領収書発行可能期間について、次の記事で詳しくご紹介しています。
Amazon領収書の出し方とPDFデータ保存
ここでは、パソコン・スマホを利用したAmazon領収書の出し方とPDFデータでの保存方法をそれぞれ解説します。
パソコンを利用する場合
まずパソコンでAmazonのWebサイトにアクセスし、ログインしましょう。
ページ右上の「注文履歴」をクリックします。
これまでにAmazonで購入した履歴(物品の購入・Amazonプライム会費の支払い・Amazon Kindle unlimitedのサブスク料金支払いなど)が表示されますので、領収書を出したい注文の右上に表示されている「領収書等」、「領収書/購入明細書」の順にクリックします。
領収書が表示されますので、タイトルの下の「このページを印刷してご利用ください」をクリックします。
印刷メニューが開いたら、送信先のプルダウンメニューから「PDFに保存」を選択して「保存」を押します。
保存先が選べますので、所定の場所を指定して再度「保存」をクリックすると、領収書の保存は完了です。
※会社で経費精算を行うなど、紙の領収書が必要な場合には、「PDFに保存」ではなく印刷するプリンタを指定して出力します。
スマホを利用する場合
スマホのブラウザでAmazonのWebサイトにログインします。
画面右上の「人のアイコン」をクリックしましょう。
スライドメニューが開きアカウントサービスが表示されますので、注文履歴の「すべてを表示」をクリックします。
注文履歴が表示されました。
領収書を発行したい注文を選ぶと(ここでは1月分Kindle unlimitedの領収書を選択しました)注文内容が表示されますので、「領収書/購入明細書の表示」をクリックします。
領収書が表示されますので、この後は「パソコンを利用する場合」と同様の手順で進めてください。
Amazonなどの通販領収書と改正電子帳簿保存法への対策
Amazonなどの通販を利用した場合の領収書の取り扱いと、電子帳簿保存法について解説します。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、これまで紙で保存することが義務付けられていた帳簿書類のうち、一定の要件を満たすものは、電子データでの保存を認める法律です。紙で書類を保管する場合と比較し、物理的な保管スペースが不要で、紛失のリスクもなく、また印刷コストを抑えられるというメリットがあります。
2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、通販サイトで物品を購入(電子取引)する場合、出力した紙の領収書ではなく、電子データで保存することが義務付けられました。
ただし、対応が困難な事業者が多数いることに配慮し、2022年1月1日から2023年12月31日の2年間については、宥恕措置としてこれまで通り出力した紙での領収書保存も認められています。
2024年1月1日からは宥恕措置の適用がなくなり、紙で保管した領収書では原則、経費計上が認められないことになりますので、今から対策が必要です。
Amazon領収書の電子帳簿保存法対策
Amazonでの通販利用も「電子取引」に該当しますので、改正電子帳簿保存法が適用されます。
2023年12月31日分までは、AmazonのWebサイトで領収書を印刷し、紙で保存する従来の方法も認められますが、あくまで原則は電子データでの保存のため、現時点で領収書を紙保存している個人事業主・フリーランスの方は早急に電子データ保存ができる環境を整え、2024年1月からの本適用に備えましょう。
令和5年度税制改正の大綱(電子帳簿等保存制度の見直し)
制度の本格始動が迫る中、2022年12月に閣議決定された「令和5年度税制改正の大綱」の中で、電子帳簿等保存制度の見直しを行うことが示されました。
ただし、見直し案は例外措置(保存要件の緩和など)に関するものでまだ流動的なため、原則に対応できる環境を整えるのが重要となるでしょう。
(参考)財務省 「令和5年度税制改正(案)のポイント」(令和5年2月) 6.納税環境整備(PDF:298KB)
個人事業主・フリーランス向けAmazon領収書の保存方法2つ
個人事業主・フリーランスの方の確定申告において、Amazon領収書を改正電子帳簿保存法に対応した電子データで保存する方法を、「専用のシステムを利用しない場合」と「専用のシステムを利用する場合」に分けてご紹介します。
専用のシステムを利用しない場合
改正電子帳簿保存法に対応したシステムを利用しない場合には、規程を作成したうえで、保存要件を満たすファイル名をつけて領収書の電子データを保存しましょう。
事務処理規程の作成
電子取引データの保存に関しては、改正電子帳簿保存法で改ざん防止措置をとることが要請されていますが、国税庁のWebサイトでは、システム費用などを掛けずに対応する方法として、「改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る」ことで構わないと示されています。
(参考)国税庁 電子取引関係 紹介動画・パンフレット 「パンフレットを見る(PDF/804KB)」
以下のページで、規程のひな形も公開されていますので、必要な部分を変更し規程を用意しましょう。
(参考)国税庁 参考資料(各種規程等のサンプル) 電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程(個人事業者の例)(Word/18KB)
保存要件を満たすファイル名の付与
改正電子帳簿保存法では電子データの保存要件として、日付・金額・取引先で検索する機能を確保することが求められているため、保存したPDFデータのファイル名に以下の3つの情報を付けます。
・取引年月日
・取引金額
・取引先名
例えば、Amazon Kindle unlimitedの領収書であれば、「20230318-980円-Amazon」とPDFデータに名前を付ければ、エクスプローラー上で、日付・金額・取引先の要件ごとに領収書の電子データを検索でき、改正電子帳簿保存法に対応可能です。
専用のシステムを利用する場合(弥生の「スマート証憑管理」)
ここでは、「やよいの青色申告オンライン」契約者が無料で利用可能な「スマート証憑管理」のサービスで、Amazon Kindle unlimitedの領収書を電子データで保存する方法をご紹介します。「スマート証憑管理」は、請求書や領収書などの証憑をクラウド上で一元管理できるサービスで、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から電子帳簿保存法対応製品として認証されています。
弥生のマイポータルにログインして、トップページの「スマート証憑管理」の「製品を起動する」をクリックします。
画面左のメニューから「アップロード」をクリックします。
画面中央の「ファイルをドロップ、またはクリックしてファイル選択」をクリックして、先ほどAmazonのWebサイトで保存した領収書ファイルを選択すると、「証憑ファイル読み込み完了」と表示されます。画面中央赤枠内にドラッグ&ドロップも可能です。
プルダウンメニューから証憑区分「受領証憑」、証憑種別「領収書」、電帳法種別「電子取引」を選択し、取引先名を入力したら右下の「アップロード」をクリックしてアップロード完了です。
メインメニューで、「受領証憑」をクリックすると、アップロードしたデータが表示されます。
アップロードしたデータをクリックして、改正電子帳簿保存法で求められる「取引日」・「取引先名」・「取引金額」の情報を入力します。
(取引先名はアップロード時に入力した情報がすでに登録されています。)
登録情報が更新され、改正電子帳簿保存法に対応した領収書の電子データ保存が完了しました。
この後、保存した領収書のPDFデータから文字を認識し、自動で会計仕訳を行うことも可能です。
「やよいの青色申告オンライン」は現在キャンペーン期間中で、初年度無料で利用可能です。契約すると「スマート証憑管理」のサービスも無料で利用できます。次の記事で詳しくご紹介していますので、電子帳簿保存法の対応にあまり手間を掛けたくないという方はぜひ参考にしてください。
Amazon領収書の確定申告における注意点(物品・サービス別)
Amazon領収書の中には、事業用・プライベート用の区分が明確につけられず、確定申告で全額を経費計上すると税務調査で否認される可能性があるものが含まれますので、特に注意すべき物品・サービスについて解説します。
家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
国税庁「やさしい必要経費の知識」注意事項
Amazonプライム会員の領収書
Amazonプライムは、年会費4,900円でプライム対象商品の配送料無料、「Prime Video」で動画見放題、「Music Prime」で音楽聴き放題など、大変お得な会員制サービスです。事業用物品の調達のために、Amazonプライム会員の配送料無料特典を利用されている個人事業主・フリーランスの方も多いでしょう。
ただし、サービス内容が幅広いため、特典をプライベートでも有効活用している場合には、年会費4,900円すべて「事業のため」とはなりません。
「事業用:プライベート用=7:3」など利用比率を証明する明確な根拠が用意できないのであれば、全額経費としないという選択肢もあるでしょう。
Amazon Kindle unlimitedの領収書
Amazon Kindle unlimitedは、月額980円で本・雑誌・漫画などの和書12万冊以上・洋書120万冊以上が読み放題になるサブスクリプション型のサービスです。例えば、Webライターが執筆テーマの調査・研究目的など事業用途で利用する場合には、毎月980円を経費計上することも考えられます。
ただし、週刊誌や漫画を読むなどプライベートでも利用している場合には、Amazonプライムの年会費同様、全額を事業用経費とはできません。経費計上するためには、事業とプライベートのそれぞれの利用割合を算出する必要があります。毎月購読履歴を印刷・保存し、事業用・プライベート用それぞれ何冊読んだかを把握すれば割合を算出できますが、難しい場合あるいは手間と感じる場合には、経費として認識しないという判断もできます。
事務用品・備品・書籍など
事業に直接関係し、事業でのみ使用する事務用品・備品・書籍などの代金は、経費計上が認められますので、領収書を電子データで保存しましょう。
パソコン・スマホ・タブレット端末など
全額経費計上したパソコン・スマホ・タブレット端末を、「日用品・洋服の購入」、「動画サブスクサービスで映画視聴」、「事業と関係のない写真の管理」などプライベート用途でも利用している場合には、税務調査で経費の一部または全部を否認される可能性があります(否認されるでしょう)。
事業用とプライベート用でパソコンなどの端末を別々に持つのが理想ですが、難しい場合には事業・プライベートの利用割合を明確な根拠を持って算出し経費計上する、もしくは全額経費計上しないという選択肢があります。
Amazon領収書の出し方と保存方法│確定申告は原則電子データ保存まとめ
Amazon領収書の出し方と電子データでの保存方法、確定申告における注意点を解説しました。
電子帳簿保存法の改正により、通販を利用した際の領収書は原則、電子データで保存することが義務付けられ、Amazon領収書にも適用されています。
今回ご紹介した弥生の「スマート証憑管理」のサービスを利用すれば、領収書電子データの訂正・削除などの履歴は自動的にシステムに蓄積されます。さらに、領収書の一元管理まで可能となるため、確定申告における領収書管理の手間を大幅に減らせます。
改正電子帳簿保存法の対応にあまり手間を掛けず、本業に集中したいという方は、「やよいの青色申告オンライン」「スマート証憑管理」の組み合わせで、ぜひ経理業務・領収書管理の効率化を検討してみてください。現在キャンペーン期間中で、1年間無料で利用可能です。